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About Condyloma acuminata
ポイントのまとめ
尖圭コンジローマとは?
尖圭コンジローマ(condyloma acuminata)はヒトパピローマウイルスの性器への感染で見られる性感染症です。ヒトパピローマウイルスは200タイプ以上の遺伝子型に分類されています。ヒトパピローマウイルスは発癌性を認めるハイリスクのものと発癌性の低いローリスクのものがあります。
蛇足ですが、発癌性を有するハイリスク型のヒトパピローマウイルスは16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、73、82型などがあります。これらは子宮頚癌、外陰癌、陰茎癌、膣癌、咽頭癌のリスクとなります。ローリスク型は2、6、11、27、40、42、43、44、54、57、61、72、81、89型などがあります。
尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスのローリスク型の6、11型がほとんどで90%これです。
尖圭コンジローマの頻度
尖圭コンジローマの発生件数はほぼ変わりなく横ばいです。2019年は男性4,113人、女性2,150人の合計6,263人でした。(厚生労働省 性感染症報告数(2004年~2019年)https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.htmlより)
年齢別では男性では20~40歳代まで多いです。50代にもある程度認めています。女性では20歳代がもっとも多くなっています。
尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマは感染後なのですが、人によっては免疫状態によっては症状が一切出ない人がいます。症状が出る人は3週から8か月(平均2.8か月)の潜伏期となります。その後感染部位にイボとなって出現します。これは1個の場合もありますし、何個も認める場合もあり、鶏のトサカやカリフラワー状の見た目の色は薄い赤色もしくは褐色です。男性では陰茎の亀頭や環状溝、陰嚢などに認めます。また、場合により肛門や尿道の中にも認める可能性があります。通常、痛みはありません。大きなイボや、場所によっては痛みやかゆみがあることがあります。
検査
イボの見た目と性交渉による感染機会の有無の確認により診断できます。他には遺伝子診断法もありますが、尖圭コンジローマに保険適応はありません。
治療
イミキモド5%クリームの外用による治療、凍結療法、レーザーでの蒸散や電気メスでの焼灼などの外科治療があります。いずれの治療法も治癒率は60~90%で再発率は20~30%です。
治ったかどうかは見て確認となります。しかし、このウイルスはどうしても発病まで時間がかかるため、感染部位周囲からも再度出てくる可能性と3か月以内に約1/4が再発するので最低3か月は受診してもらう必要があります。
イミキモド5%クリームの外用による治療
イボのある部位に隔日で週3回(月水金もしくは火木土)塗って、6~10時間後に石鹸で洗い流します。
この治療法は処方なので、どこでも治療ができ、比較的大きいものにも対応可能で、傷も残りにくいという長所があります。しかし端緒としては治療期間が数か月にわたることが多く(イボ消失までの期間は約8週間)続けにくいこと。小児と妊婦には使えないことが短所です。
凍結療法
綿棒に液体窒素を含ませて、イボに押し当てます。これを1~2週ごとに繰り返します。軽度の痛みはありますが、麻酔は不要です。
大きいイボには適さない治療です。
外科治療
レーザーや電気メス、はさみで直接切除するなどがあります。これらは局所麻酔が必要になります。
予防について
まずは性交渉の時にコンドームをすることが重要です。しかし、広範囲に感染がある場合にはコンドームだけでは予防困難です。性交渉の際に陰部に傷がある場合には容易に感染源となります。
他の予防法としてこの性感染症はワクチンで予防がある程度可能です。このワクチンは尖圭コンジローマのウイルスの型の子宮頸癌・肛門癌 (16、18型) 、尖圭コンジローマ(6、11型)に対応した4価ワクチン(ガーダセル®)です。他に2020年7月に9価ワクチン(シルガード®)も承認され日本で使用可能です。しかし、9価ワクチンは女性のみの承認です。男性ではここ最近まで使用は認められていませんでしたが、日本では、2020年12月から任意接種で9歳以上の男性にも4価ワクチン(ガーダシル)の適応拡大がされました。今後、ワクチン接種により尖圭コンジローマが少なくなってもらえればと思います。
パートナーについて
病変がある場合には治療が望ましいです。病変がある場合には再度の感染になりやすく難治性になりやすいためです。