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About Gonococcal urethritis
ポイントのまとめ
淋菌とは?
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)はナイセリア属のグラム陰性双球菌です。ナイセリア属の菌仲間は全部で11種類認め、そのうち、病気の原因となる可能性があるのは、淋菌と髄膜炎菌のみです。淋菌は、環境の変化に非常に弱いため、通常は感染部位より外に出ると死んでしまいます。このためほぼすべて性行為にて感染します。感染力は非常に強く淋菌保有者との1回の性行為により30%も感染するといわれています。
この細菌はここで述べる尿道炎以外にも目、のど、直腸炎、精巣上体炎、女性特有のものでは子宮頸管炎、骨盤内感染症などを起こします。
淋菌感染症の頻度
淋菌感染症の発生件数は2001年、2002年の1万7千人台をピークに減少しており、近年は男女ともに変わりなく横ばいです。しかし、少子化に伴い、若年者自体の人数も減っているため、一概に減ったとは言えないのかもしれません。2019年は男性6,467人、女性1,738人の合計8,205人でした。(厚生労働省 性感染症報告数(2004年~2019年)https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.htmlより)
年齢別では男性では20歳代がもっとも多く40歳前半まで多いです。女性では20歳代がもっとも多くなっています。
淋菌性尿道炎と診断された方の20~30%にクラミジア尿道炎を同時に認めます。
性器ヘルペスの症状
男性の淋菌性尿道炎は、感染後だいたい2~7日程度で症状が出でます。かなり痛い排尿時痛です。クラミジア尿道炎と比較すると症状も重いです。尿道炎の分泌物は、多量で、黄白色の膿が出ます。量もクラミジア尿道炎に比べると多量です。少し蛇足にはなりますが、淋菌性精巣上体炎についてですが、クラミジアでの精巣上体炎がマイルドな症状であることが多いのに比較して、淋菌性は炎症所見が強く多くは発熱を起こし、片側の陰嚢がはれ上がり、痛みのため、歩行困難になることもあります。また、精巣上体炎ですが、初めは片方の腫大だけですが、正しい治療を受けなければ、両方とも感染し治療後に不妊になる可能性があります。
さらに蛇足ですが、淋菌性咽頭感染はオーラルセックスの増加により増えてきており、淋菌患者の10~30%に認めます。このため、こちらについても十分に配慮が必要になります。
検査
淋菌性尿道炎の診断としては初尿を使い、これを標本として顕微鏡でみる検鏡法、淋菌を実際に増やして確認する培養検査、およびPCR法などを用いた核酸増幅法を使用します。
診察では簡便な検鏡法とクラミジアも同時に検査できる核酸増幅法を用いることが多いです。難治性の場合には培養検査を行い、どの抗菌薬が淋菌に効くのかを確認する必要があります。
治療
まずは予防です。絶対防げるというわけではありませんが性行為(オーラルを含む)を行う際にコンドームを正しく着用することで、感染のリスクを低下させることが出来ます。
また、不特定多数との性行為は感染リスクが高くなりますので避けてください。
次に実際の治療ですが、淋菌の抗菌薬への耐性が強くなっており、効く抗生剤が少なくなっています。今現在、保険適応で確実に有効な初期治療薬はセフトリアキソンという抗菌薬の点滴(1回で終わりです)とスペクチノマイシンの筋肉注射です。精巣上体炎など、症状がひどくなる場合にはセフトリアキソンの点滴を1~7日間使用することがあります。
抗生剤投与後に治っていなくても症状が改善することがありますので、治療後も医師の指示に従い、治療終了まで通院するようにしてください。
パートナーと予防について
淋菌感染症と診断された場合には必ずパートナーの検査は行ったほうがいいです。女性の場合には症状が軽い場合もあるためです。またクラミジアの同時感染の可能性もあります。症状がなく経過していた場合でも不妊の原因となります。女性であれば、不妊の原因となる可能性があるのはもちろん、流産、早産、子宮外妊娠の原因にもなります。
パートナーが陽性になった場合には必ずその方も治療を行ってもらってください。