症状

About symptoms

腎盂腎炎について

About Pyelonephritis

ロゴ ポイントのまとめ

  • 腎盂腎炎とは腎臓の中にある尿が最初に出てきて溜まる場所である腎盂にばい菌が付いた状態です。
  • 腎盂腎炎には単純性腎盂腎炎と他の疾患が関与している複雑性腎盂腎炎があります。
  • 女性の方がなりやすい病気です。
  • 症状は排尿時のしみる感じ、痛み、残尿感、頻尿といった膀胱炎の症状に加えて発熱(38℃以上)、片側に寄った腰痛、場合により嘔気、嘔吐が出現します。
  • 尿の見た目が濁ることもあります。
  • 原因となる菌は腸内に属しているものが多いです。
  • 若年女性では性交渉でなることが多いです。
  • 検査は採血検査、検尿検査、エコー検査を行います。必要に応じてレントゲン検査、CT検査、造影検査を追加します。
  • 尿培養検査、高熱時には血液培養をして原因菌を特定することがあります。これによりどんな抗生剤が効くか判定でき、適切な治療ができる可能性があります。
  • 治療は抗生剤です。内服だけ治療できるのは、内服が出来て、自分で悪化時に来院できる人です。自分で症状が言えない、体が弱っている高齢者などは入院での治療が無難です。
  • 内服での治療期間は1~2週間の内服治療です。
  • 複雑性腎盂腎炎でおしっこの流れを止めるものについては、入院での治療が必要であり、細菌尿を外部に出す(ドレナージ)を行う可能性があります。
  • ドレナージについては閉塞部位とその状態に応じて種類があります。(尿道留置カテーテル、膀胱ろう、尿管ステント、腎ろう)
  • 内服抗生剤治療後は一度、検尿検査にて尿がきれいになったか、採血にて炎症所見が改善したか確認します。
  • 複雑性腎盂腎炎については治療後に原因となった疾患の治療が必要となることがあります。

ロゴ 腎盂腎炎の種類

腎盂腎炎とは腎臓の中にある尿が最初に出てきて溜まる場所である腎盂にばい菌が付いた状態です。

腎盂腎炎には単純性腎盂腎炎と複雑性腎盂腎炎があります。複雑性腎盂腎炎とは基礎疾患を有する方がなる腎盂腎炎です。

基礎疾患としては、神経因性膀胱、前立腺肥大症、膀胱癌、前立腺癌、尿路結石症、尿路カテーテルおよび尿管ステント、糖尿病、ステロイド内服による免疫機能低下、尿路奇形などがあげられます。
これらの基礎疾患なしになる腎盂腎炎が単純性膀胱炎になります。多くの場合には閉経前女性の腎盂腎炎です。

他には急性(急に起こる)と慢性(ずっと続く)があります。
慢性腎盂腎炎には複雑性が多く、この場合には慢性複雑性腎盂腎炎といった呼び方になるため、腎盂腎炎は正式に分けると4種類あります。

ロゴ 症状

排尿したときの痛み、しみる感じや尿の回数が多くなる、残尿感があるといった膀胱炎の症状に加えて、発熱(多くの場合は38℃以上の高熱です)と腰痛が出現します。
場合によっては悪心、嘔吐が出現します。

この腰痛は腎臓が左右にあるため、右に感染した場合には右腰痛、左に感染した場合には左腰痛となります。

尿の見た目は膀胱炎と同様に濁っていると感じることが多いと思います。

症状

ロゴ 原因

細菌まれに真菌が引き起こします。これは主に尿の出る場所(外尿道口)より侵入します。
まれに、他の感染部位から細菌が血液の流れに乗って腎盂に達した血行性感染、リンパ管の流れに乗って腎盂に達したリンパ行性感染もあります。

単純性腎盂腎炎は性活動期の若い女性に多い疾患ですが、閉経後の年代でも多く見られます。
女性に多い原因は、女性は体の構造的に、尿道口が肛門から近く、さらに外陰部は湿潤しており、細菌が増殖しやすい環境であることに加え、尿道が短く(男性の尿道の長さ15~20cm、女性の尿道の長さ2~3cm)、細菌が侵入しやすい状態であるためです。

若年女性によく起こります。この場合には性交渉の関与が考えられます。

ここで注意ですが、若い男性や、中年男性で発熱を伴う尿路の感染症を起こした場合には、急性細菌性前立腺炎を考える必要があります。

また複雑性腎盂腎炎において、腎臓から膀胱まで尿が流れる通路である尿管を閉塞させるような疾患(結石、腫瘍など)の場合や膀胱から外尿道口(体から尿が出る場所)までの尿道を通れなくさせる病気(多くの場合には前立腺肥大症や神経因性膀胱)の場合には緊急入院の必要がある可能性があります。

これは尿管が閉塞することにより、その上部で細菌混じりの尿がたまります。
ここに細菌が繁殖し、腎臓から体の血流に乗り菌血症(血液に細菌がいる状態)や敗血症(感染症によって生命を脅かす臓器障害が現れる状態)に容易に陥ります。
このため、尿路にたまった細菌尿を外に流す手段が必要となります。これをドレナージいいます。

方法については治療の部位で述べます。

ロゴ 検査

まずは検尿検査でみます。これは膀胱炎と同じです。顕微鏡にてみる検尿検査を尿沈渣といい、細菌を倒す白血球や実際に細菌がいないかを確認します。白血球が一定数(一視野あたり5個以上)認められれば、細菌尿と診断します。

また、尿から実際にどのような細菌や真菌がいるのか同定する尿培養検査を追加し、どの抗生剤が効くかも確認します。抗生剤が効いていない場合には抗生剤変更の助けとします。

この後、エコー検査を行い腎臓が腫れていないか(水腎症といいます)、前立腺が腫れていないか、残尿が無いかをチェックします。

他に画像検査として、レントゲン検査で結石の有無の確認や、尿路に造影剤を入れ、尿路奇形の有無を確認する可能性もあります。

明らかな疾患の原因が特定困難の場合にはCT検査で尿路以外にも原因が無いかを確認することもあります。

あとは採血にて炎症所見(白血球やCRP)が上昇していないか確認をします。高熱がある場合には血液に細菌がいないか確認する血液培養検査を追加することもあります。

ここで出てくる細菌の約70%~80%はE.coli(大腸菌)です。
他にはStaphylococcus saprophyticus(腐性ブドウ球菌:主として泌尿器周辺の皮膚に常在)、Klebsiella属(クレブシエラ属:腸内に常在)、Streptococcus属(ストレプトコッカス属:腸内に常在するものあり)、Proteus属(プロテウス属:腸内細菌科に属する細菌)です。

検査検査

ロゴ 治療

腎盂腎炎は抗生剤治療が必要です。

単純性腎盂腎炎の治療は抗生剤の内服が可能な方で、症状悪化時には必ず来院ができる人は内服治療を選択することも可能です。
だいたい1週間から2週間の内服を行います。この場合にも3日程度で一度来院いただき、採血、検尿、症状についてお尋ねすることが多いです。
その後、2週間程度で発熱や腰痛の消失、採血上での炎症所見の改善、検尿での細菌尿の改善を確認します。
内服が困難である場合や、認知症等で自分の病態を表現できない場合、高齢者などでは入院での抗生剤点滴治療の方が無難な可能性があります。

複雑性腎盂腎炎の場合には、特に先にも書いた通り、尿路を閉塞させる腎盂腎炎についてはドレナージをしない限り、容易に菌血症や敗血症となる場合があるため、基本的には入院し、抗生剤点滴治療が必要となります。この上で原因に応じたドレナージにて対処をします。

尿道(膀胱から外尿道口までの尿の通り道)に閉塞がある場合には尿道カテーテル(おしっこを流す管)の留置をします。これの挿入が困難な場合には膀胱ろう(おなかから直接膀胱に管入れる)を留置します。これでドレナージを行います。

尿管(腎臓から膀胱までの通り道)に閉塞がある場合には尿管ステント(膀胱から尿管に挿入する管)留置、尿管ステント挿入困難時やよりドレナージをしたい、後々の治療で使用したい場合には腎ろう(背中から直接腎臓に留置する管)を挿入してドレナージを行います。

感染症が落ち着いたら、閉塞する原因となった病気に対しての治療が必要となります。

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