症状

About symptoms

間質性膀胱炎について

About Interstitial cystitis

ロゴ ポイントのまとめ

  • 間質性膀胱炎は現在、「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」と呼ばれています。
  • 症状は患者さんそれぞれですが、昼夜問わず頻尿になる、おしっこに行きたい感じが強い、残尿感がある、急にどうしようもない尿意に襲われる(尿意切迫感)、膀胱不快感、膀胱の部位が痛いなどがあります。
  • 日本においてこの疾患で治療中の方は0.004%の4500人と言われていますが、もっとおられると推測されています。
  • 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群について、大きく二つに分けるとHunner(ハンナ)病変を伴うものともう一つはHunner病変のないものです。
  • 間質性膀胱炎(ハンナ型)で重症の基準を満たすものは厚生労働省が指定する指定難病です。
  • 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の原因については今のところ分かっていません。
  • 検査は問診、尿検査、尿流測定、残尿測定、排尿日誌、膀胱鏡検査、膀胱水圧拡張検査、膀胱生検があります。
  • 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の治療には根治的な治療法は現時点ではありません。このため保存的治療、薬物治療、膀胱腔内・壁内注入療法、手術療法より、その患者さんに最も適切な治療を選択することとなります。

ロゴ 間質性膀胱炎って何?症状は?

間質性膀胱炎は現在、「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」と呼ばれています。

症状には、昼夜問わず頻尿になる、おしっこに行きたい感じが強い、残尿感がある、急にどうしようもない尿意に襲われる(尿意切迫感)、膀胱不快感、膀胱の部位が痛いなどがありますが、これらの症状は患者さんにより、たくさんある方もおられれば、一つしかないなどもあり、その人それぞれ違っています。
僕の診察した方は頻尿があり、尿がたまってくると下腹部が痛くなるという訴えでした。
間質性膀胱炎では、それ以外の疾患がないことも確認しなければなりません。それ以外の疾患とは膀胱の感染症、新生物(癌などの腫瘍)、結石、過活動膀胱などです。これらの疾患がなく上記症状の場合に間質性膀胱炎・膀胱痛症候群という診断となります。

間質性膀胱炎

ロゴ どれくらいの方が間質性膀胱炎なのか?

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群への諸外国の罹患率は0.01~2.3%であり、女性の方の方が男性の約5倍多いといわれています。日本でこの疾患で治療中の方は0.004%の4500人と言われています。しかし、調査によると全人口のおよそ1.0%に膀胱痛の経験があるとされていることや、先の諸外国の罹患率を考えると、日本でも実際の患者さんはこれよりも多いものと推測されます。

ロゴ 間質性膀胱炎の種類

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群について、明らかに種類分けということは難しいですが、所見により、ある程度の分類はこのあとの治療や検査でもかかわってくるため、大きく二つに分けます。一つはHunner(ハンナ)病変を伴うものともう一つはHunner病変のないものです。これらは後の原因や治療法にて明らかに方針が異なってきます。

Hunner病変とはHunnerが報告した病変であり、膀胱をみるカメラでみると細い血管がたくさん集まり、その部分だけ赤くなっている所見です。

間質性膀胱炎(ハンナ型)で重症の基準を満たすものは厚生労働省が指定する指定難病です。

ロゴ 原因

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の原因については今のところ分かっていません。
現時点では膀胱の壁自体に問題があるのではないか、リンパ球や肥満細胞などの活性化が原因ではないか、免疫性の炎症の可能性、微生物の感染が原因ではないか等の仮説を検証している段階です。

ロゴ 検査

検査は問診、尿検査、尿流測定、残尿測定、排尿日誌、膀胱鏡検査、膀胱水圧拡張検査、膀胱生検があります。

問診

いつぐらいから、どのように痛むのか。尿の回数はどれくらいか、なにかをした時やストレス時に症状が悪化したりしないか、どれくらい困っているか、病歴についてもお伺いすることがあります。

問診

尿検査

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群では異常がないことが多いです。むしろ、検尿で異常がある場合にはほかの疾患(膀胱炎、尿路結石、膀胱腫瘍など)を考えます。

尿流測定

トイレ型の検査機器に排尿すると、尿の出方がグラフで示され、尿の勢い、排尿量、排尿時間などが自動的に数値化されて表示されます。これで自覚的な尿の出が悪いのを実際の数値として客観情報として評価できます。間質性膀胱炎・膀胱痛症候群では尿量の低下を認めることがあります。

尿流測定

残尿測定

排尿直後に膀胱内にどれくらいの尿が残っているかを超音波で測定します。間質性膀胱炎・膀胱痛症候群では通常残尿量の低下は認めません。これを確認するのが他の疾患との鑑別のためにも重要です。

排尿日誌

排尿日誌は、ご自身でつけていただく尿の日記です。排尿した時刻とその時の排尿量を24時間自分で記録します。これを最低2日間、できれば3日間してもらいます。これをつけてもらうことにより一日の排尿回数や1回の排尿量、また頻尿の程度が昼夜どちらで強いのかなどを正確に知ることができます。間質性膀胱炎・膀胱痛症候群では一回尿量が減り、排尿回数が増加していることが多いです。

膀胱鏡検査

おしっこの出口(外尿道口)より挿入するカメラです。これを挿入することにより、膀胱の中がどうなっているか実際に観察することができます。

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群で重要な検査です。この検査でHunner(ハンナ)病変の有無を見ます。それ以外にも膀胱容量が少なくなっていたり、病変が治る過程でできたであろう瘢痕を認めたりすることもあります。Hunner病変は容易に出血しやすいという特徴もあります。

膀胱水圧拡張検査

この検査は痛みを伴うので、通常は下半身麻酔もしくは全身麻酔でないとできません。麻酔の後に膀胱の中に十分に生理食塩水を入れ、拡張させ、水を抜きます。その後、再度生理食塩水を入れながら膀胱の中がどうなっているか確認する検査です。これは間質性膀胱炎・膀胱痛症候群では治療にもなります。治療については後述します。ちなみに正常の方では特に異常はありません。

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群ではHunner(ハンナ)病変がある方はこの部位から容易に出血したり、亀裂が入ったりします。瘢痕がある場合にはこの部位も亀裂が入り出血します。さらに、拡張する前に正常と思われていた膀胱粘膜から排水をしていくとジワーっと出血することがあります。これを泌尿器科では五月雨(さみだれ)状出血と言います。他にも膀胱粘膜に赤い点がたくさんできる点状出血を観察できることもあります。

膀胱生検

膀胱生検とは異常に見える部位の一部の組織を採ってきて、組織を顕微鏡で見る検査である病理検査をする方法です。Hunner(ハンナ)病変では特徴的な所見が得られることがあります。また、癌がないか確認する目的でも行う可能性があります。

ロゴ 治療

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の治療には根治的な治療法は現時点ではありません。このため保存的治療、薬物治療、膀胱腔内・壁内注入療法、手術療法より、その患者さんに最も適切な治療を選択することとなります。

保存的治療

まずはストレスを避けてください。ストレスを受けると悪くなるという報告があります。

このためエクササイズや入浴、勤務時間の短縮、家庭環境の変化などを行いストレス軽減に努めるのもいいと思います。

次に骨盤底の理学療法(骨盤内外筋膜マッサージ)です。統一した方法はないですが、治療効果は5割くらいと言われています。

最後に食事療法に触れます。食事では、NIH(アメリカ国立衛生研究所)の研究グループよりコーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、トマト、かんきつ類、香辛料、ビタミンCが間質性膀胱炎・膀胱痛症候群を悪化させる飲食物と報告されています。このため、これらを避けてくださいと書きたいのですが、患者さんに応じて食品の影響もそれぞれのようです。このため、個々で悪化する食品をみつけ、その食品を避けるようにしてください。

薬物治療

これが絶対に効くという薬はありませんが、人により非常に効果があることがあります。何種類か提示します。

抗うつ薬(アミトリプチリン)、胃潰瘍の薬(シメチジン)、抗アレルギー薬(スプラタスト、モンテルカスト)、痛み止め(アセトアミノフェン、セレコキシブ)、ステロイド、などがあります。

膀胱腔内・壁内注入療法

こちらについても絶対に効くというより、効く人には効果があるという言い方になると思います。こちらも数種類提示しておきます。

ジメチルスルホキシド(DMSO)

炎症抑制、筋弛緩、コラーゲン分解、肥満細胞の脱顆粒の効果があるといわれています。

ヘパリン

膀胱壁の欠損の修復を期待して行う治療です。

ステロイド

炎症抑制効果があります。

ボツリヌス毒素

過活動膀胱の治療でも使用します。膀胱の過剰な緊張を緩めます。

手術療法

これには膀胱水圧拡張術と経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術があります。

まずは膀胱水圧拡張ですが、これがなぜ効果があるのか作用機序は今のところ不明です。先の検査でも述べたとおりのことを行います。まれですが、水をたくさん入れるので、膀胱破裂の合併症があります。

次に経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術です。膀胱鏡(検査の部位参照)の先に電気メスをつけこれでHunner(ハンナ)病変を切除し、その部位を焼灼します。Hunner病変を有する方には効果的です。また、この際に膀胱水圧拡張術を併用することも多いです。

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