症状

About symptoms

血精液症について

About Hematospermia

ロゴ ポイントのまとめ

  • 精液の通り道のどこかで出血をしていて、これが精液に混じる疾患です。
  • 原因が不明なことが多いです。
  • 血精液症それ自体では妊孕性(子供を作る能力)に影響しません。
  • 悪性疾患を伴う場合も非常にまれです。
  • 検査としては理学的所見、採血(PSA測定)、エコー検査、MRI検査があげられます。
  • 炎症や腫瘍、結石など原因がはっきりする場合にはその治療を優先して行います。
  • 他に原因がない場合には、まずは止血剤を場合により併用しながら経過観察を行うことが多いです。
  • 通常1~2か月以内(10数回程度の射精まで)に治ることが多く、6か月以内には自然治癒します。
  • 長期間持続する場合で他に原因がない場合には前立腺正中線嚢胞、射精管閉塞、精嚢アミロイドーシス、精嚢拡張が関与している可能性があります。
  • 再発は5~10年くらい経過しても認める可能性があります。

ロゴ 症状

血精液症は精液に血液が混入した状態です。

ロゴ 好発年齢

20歳から60歳代に発症し、40歳代が最も多いです。

ロゴ 精子が作られ射精されるまで

精巣で作られた精子は、「精巣上体」というところに運ばれ、そこで成熟し射精の瞬間を待ちます。
射精の瞬間が来ると、精巣上体にある精子が精管へと送られます。さらに精管の動きによって射精管へと入ります。射精管で、精子は精嚢(せいのう)からの分泌液と混ざり合い、その後、前立腺に送られて前立腺液とも混ざり合います。
こうして出来上がるのが精液となります。

精子が作られ射精されるまで

ロゴ 原因

血精液症は精液が出てくるまでの通路のどこかで出血をしていることになるのですが、検査はしたが原因不明のことが多いです。出血源は精嚢内の出血が多いです。

まずは他に原因がないかを問診にて探します。
尿道の先から膿が出る場合や、排尿障害があった場合、検尿が濁っていた場合には、細菌による感染、炎症性の疾患を考えます。
血尿と痛みがある場合には結石が無いかを考えます。
もう一つ注意点としては前立腺になんらかの処置(前立腺生検、前立腺癌に対する放射線治療、尿道ステントなど)をされた場合には、血精液症となる要因が明らかであるため、経過を見ていても問題ないと思います。気になるなら処置をしてもらった病院に問い合わせてもいいと思います。
痛みもなく血尿が混じっている場合には、腫瘍性の病変の有無について精査が必要になる可能性があります。
それ以外にも前立腺に嚢胞ができる場合(前立腺嚢胞)、精嚢アミロイドーシスや血友病、von Willebrand病といった全身性の疾患の時にも血精液症になる可能性がありますが、非常にまれと思われます。

また重要なことですが、血精液症に伴う悪性疾患(前立腺癌、精嚢癌、精巣上体癌)は極めてまれ(報告では約2%程度)と言われています。

ロゴ 検査

患者さんの年齢や血精液症以外に排尿痛、排尿困難感、血尿、会陰部不快感等の他の症状がないかもお伺いしながら診察を勧めます。

先の原因の項目にも記載したのですが、原因不明なことが多いため、まずは他の疾患がないかの確認が最初になります。

検査としては理学的所見、採血(PSA測定)、エコー検査、MRI検査があげられます。

まずは理学的所見として陰嚢、精巣上体、精巣が腫れていないか、痛みがないかを確認します。場合によっては前立腺についても直腸診(急性前立腺炎の項目参照)にて前立腺の痛みがないかを確認します。

検尿では尿沈渣をみます。これは顕微鏡にて、細菌を倒す白血球や実際に細菌がいないかを確認します。白血球が一定数(一視野あたり5個以上)認められれば、尿路感染症と診断します。また同じ判定基準で赤血球の数も数えます。これが多い場合には尿路のどこからか出血している可能性があり、結石や場合により膀胱癌、前立腺癌といった悪性疾患を考えることもあります。これらの疾患を疑う場合にはその疾患に応じた検査を追加することとなります。

採血としてPSAをみることがあります。PSAとは前立腺特異抗原、Prostate-Specific Antigenの略語です。前立腺癌で上昇を認めます。40歳以降であれば前立腺癌がないかをみるために確認する検査となります。

エコー検査ですが、この検査は腹部からのエコーは前立腺の詳細をはんだんするのが困難であるため、肛門からのエコーの機械を入れ、前立腺エコー検査を行うことが多いと思います。これは経直腸的超音波検査(TRUS:transrectal ultrasonography)というのが正式名称です。これを行うことにより、前立腺肥大症、前立腺癌、前立腺結石、前立腺嚢胞、精嚢出血、精嚢結石などの鑑別に有用です。肛門からエコーを入れますので、肛門が狭い方等では施行が困難の可能性があり、また痛みがある可能性があります。

次にMRI検査ですが、これは特に痛みもなくできる検査ですが、通常、クリニックではMRIはないため、総合病院クラスを紹介となり、そこで、MRIを撮ってもらうこととなります。これにより、前立腺癌がある場合、精嚢内出血がある場合等において、これを確認することができます。また前立腺嚢胞の確認もできます。

検査検査検査

ロゴ 治療

まずは重要なこととして血精液症それ自体では妊孕性(子供を作る能力)に影響しません。

感染症、結石、腫瘍等の原因がある場合にはそちらの治療を行ってもらいます。

他に原因がない場合には、まずは止血剤を場合により併用しながら経過観察を行うことが多いです。

明らかな血精液症を来す疾患がない場合には通常1~2か月以内(10数回程度の射精まで)に治ることが多く、6か月以内には自然治癒します。

再発は5~10年くらい経過しても認める可能性があります。

長期間持続する場合で他に原因がない場合には前立腺正中線嚢胞、射精管閉塞、精嚢アミロイドーシス、精嚢拡張が関与している可能性があります。この場合には症状がひどければ例えば前立腺正中嚢胞であれば、尿道から内視鏡でその部屋を切開開放する、経尿道的開窓術を行ったり、射精管閉塞例では尿道から内視鏡で経尿道的射精管切開術を行うこともあるようです。

以下は前立腺正中線嚢胞、射精管閉塞、精嚢アミロイドーシス、精嚢拡張について文献の報告をもとにまとめたものです。

前立腺正中嚢胞の前立腺の正中線の部位に位置し、前立腺と精嚢の間にあって膀胱底面に伸びる嚢胞です。従来ミュラー管嚢胞と診断されていました。この嚢胞は通常、他の尿路や精路には交通がありません。あること自体は問題ではないのですが、一部で交通を認める場合があり、これが血精液症の原因と言われています。

射精管閉塞は精嚢もしくは精嚢腺管の拡張、射精管の拡張がある場合に考慮します。

精嚢アミロイドーシスについてですが、アミロイドーシスは線維蛋白の組織への沈着により生じる病気です。精嚢アミロイドーシスは前立腺全摘除術での摘出標本や、高齢男子の剖検例で時に認められることがあり、高齢男子の剖検にて 8 ∼16%において精嚢アミロイドーシスが認められたとの報告もあります。確定診断は精嚢部位の生検による病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)しかありません。治療は特になにもせず、経過観察をすることが多いです。

精嚢拡張については、その意味自体は不明なのですが、血精液症においては精嚢出血を示す一つのサインと考えられています。

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