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ポイントのまとめ
精索静脈瘤について
精索静脈瘤は精巣から出ていく精巣静脈の逆流により陰嚢内の静脈が怒張・うっ血をきたした状態です。
場所は精巣の上の部分にできます。
精索静脈瘤の特徴
精索静脈瘤は左精巣静脈が左腎静脈に入るという解剖学的な理由により(右は下大静脈に入ります。)左側で80~90%発生し、両側は10%程度で認めます。
精索静脈瘤は健常人の10~20%で認めますが、男性不妊となると30~40%で認めると言われています。
精巣静脈瘤は片側でも両側の精巣の障害を来たし、精液所見の悪化の原因となります。
精索静脈瘤の症状
多くは無症状で経過します。小児においては陰嚢内容の膨隆や、痛みや不快感を訴えることがあります。成人では小児と同様な症状を訴えることもありますが、多くは不妊症外来の診察時に発見されることが多いです。精索静脈瘤がある方の精巣は小さくなっていることもあります。
精索静脈瘤の検査
メインの検査は視診と触診です。
これにより下の通りの3段階に分類されます。
グレードⅠ | 腹圧をかけたときに触ることができる軽度のもの |
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グレードⅡ | 簡単な触診だけでわかるもの |
グレードⅢ | 目でみて明らかなもの |
立位で調べます。これについてはセルフチェックも可能と思います。
この後、超音波検査を行います。超音波検査検査では、鼠径部から陰嚢にかけて拡張した静脈がスイスチーズ様にみえます。また、カラードプラ法により血液の逆流所見が認められます。この時点で腹圧をかけることにより顕著になるという所見が得られます。
もともとは男性不妊で来られることが多いので、造精機能を評価するためには精液検査も行います。
精索静脈瘤の治療
精索静脈瘤の治療法は、基本的に手術です。痛みがある場合や,患側精巣の発育が良くない場合には,手術適応となります。精索静脈瘤のある男性不妊症の方には、妻の妊娠機能が正常、または妻の不妊の原因が治療可能な場合で、精液所見が悪い場合が手術適応となります。この場合以外は経過観察になります。
手術方法は単純にいうと圧が高くなっている血管を結紮し切断をすることです。やり方として、精索静脈瘤高位結紮術、顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術、腹腔鏡下精索静脈瘤手術などがあります。
思春期や成人の手術では不妊症に対して効果があることが多いです。
精索静脈瘤の手術での有効例は7~8割程度あるとされています。その後、通常では、手術後3ヶ月で精液所見の改善傾向を認め、6ヶ月では明らかに精子濃度や運動率が改善していきます。このため、3ヶ月から6ヶ月で効果があったか再度精液検査を行うことが多いです。
さて、小児で精索静脈瘤が見つかった場合ですが、将来の不妊症を予防する目的で小児期における手術施行が有効であることを示す論文はありません。このため小児期における手術適応は、症状があり日常生活に支障がある場合でいいと思われます。