Director's blog
2021年12月9日
今回は夜間多尿と睡眠時無呼吸症候群の関係について説明させてもらいたいと思います。
睡眠時無呼吸症候群は、「日中に過眠もしくは閉塞型無呼吸に起因する症状をいくつか伴い、かつ無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの無呼吸・低呼吸数が5回/時間以上)」と言われています。
大規模の疫学研究では、この睡眠時無呼吸症候群の有病率は5人に1人と言われています。また睡眠時無呼吸症候群の方の47.8%に夜間頻尿を認めたと報告されています。
ここでなぜ睡眠時無呼吸症候群と夜間多尿が起こる機序として考えられていることを説明します。
まずは睡眠時無呼吸症候群で呼吸が止まり、上気道が閉塞します。すると胸の中の空気がなくなり、胸腔内圧が低下します。すると、陰圧に引っ張られるように心臓に帰ってくる血の量が増えます。(静脈還流量の増大)これにより、心臓の部屋の一つである右房が拡張し、この負荷により心房性ナトリウム利尿ペプチドが産生されます。この心房性ナトリウム利尿ペプチドは利尿をついている通り、尿を作るホルモンの1種です。これが出ることにより夜間の尿量が増えていきます。
これらの方の自覚症状は夜間頻尿ですが、量が多いというのが特徴です。このことは排尿日誌という尿の日記をつけてもらうと、ある程度わかります。発見後に睡眠時無呼吸症候群の治療を行うと夜間頻尿が軽快される方もおられます。
夜間頻尿でお困りでしたら、泌尿器科に受診されるべきと思います。なにかありましたら、ご相談ください。