院長ブログ

Director's blog

2022年11月3日

検尿検査で見ていることを説明します。~尿沈渣~

急に寒くなりました・・・最近、四季ってなんだろうって思います。

さて今回は前回の続きで尿沈渣についてです。

まず尿沈渣って何なのかですよね。泌尿器科の外来でスライドガラスを顕微鏡で見ている姿を見たことがあるかもしれません、あれが尿沈渣です。

さて、まずは尿沈渣の作り方からです。

  1. まずは尿を採取します。約10ml必要になります。
  2. この尿を遠心分離にかけます。(500G、5分間)
  3. 遠心分離したものは上澄み(上清)と細胞成分に分かれます。この上澄みをとり、細胞成分のみにします。これが沈渣です。
  4. 沈渣をよく混ぜて、スライドガラスに垂らします。
  5. カバーガラスをかぶせて完成です。

以上の方法が標準法です。他に小児科などでされていることがある、簡易法、特殊法があります。

さてここで、染色せずにみる無染色、HE染色、S染色、メチレンブルー染色、パパニコロウ染色などを行い、見たいものを見ていきます。

次に顕微鏡でみるのですが、対物レンズ40倍、接眼レンズ10倍の40×10で400倍にて観察を行います。

検査結果の書き方について説明をしていきます。

尿沈渣成分(JCCLS記載法)  

血球・上皮細胞類

  1-4個/HPF

  5-9個/HPF

  10-19個/HPF

  20-29個/HPF

  30-39個/HPF

  40-49個/HPF

  50-99個/HPF

  100個以上/HPF

円柱類

  -  0個

  1+  1個~/WF(1個~/100LPF)

  2+  1個~/LPF(100個~/WF)

  3+  10個~/LPF(1000個~/WF)

  4+  6個~/HPF(10000個~/WF)

細菌・真菌類

  -  0

  ±  数視野に散在

  1+  各視野にみられる

  2+  多数あるいは集塊状に散在

  3+  無数

原虫・寄生虫類

  -  0

  1+  1個/WF~4個/HPF

  2+  5~9個/HPF

  3+  10個~/HPF

結晶・塩類

  -  0

  1+  1~4個/HPF

  2+  5~9個/HPF

  3+  10個~/HPF

ちなみに検査結果で尿沈渣の横の単位に、WF、LPFやHPFとあるかもしれませんが、これは全視野:WF(whole field)、弱拡大:LPF(low power field) 、強拡大:HPF(high power field)の略です。全視野はスライドガラスすべて、弱拡大は100倍、強拡大は400倍です。

この組み合わせで検尿の紙は作っています。またご自身の尿沈渣を見てみてください。

最後に尿沈渣はこのように作るのに少し時間がかかります。検尿が出てしばらくかかりますので、尿の提出後しばらく外来での待ち時間ご容赦ください。

よろしくお願いします。

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