Director's blog
2025年12月1日
はじめに
こんにちはおき泌尿器科クリニック院長の沖です。12月は一年の疲れが出やすく、体調の変化に敏感な時期です。
特に男性の中には、「トイレが近い」「尿の勢いが弱い」といった排尿トラブルを感じる方が増えます。
その背景には、寒さや生活リズムの変化だけでなく、「前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)」が関係していることがあります。
今回は冬に悪化しやすい前立腺肥大症について、原因と予防法をやさしく解説します。
【前立腺肥大症とは:加齢とともに起こる自然な変化】
前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在します。
年齢とともにこの前立腺が大きくなることがあり、尿の通り道である尿道を圧迫して排尿がしにくくなる状態を「前立腺肥大症」と呼びます。
主な症状は「尿が出にくい」「尿の勢いが弱い」「何度もトイレに行く」などです。
前立腺の肥大は50代から増え始め、60代では約半数、70代では約7割の男性に見られます。
前立腺自体の肥大は病気というより自然な老化現象ですが、症状が強い場合には治療が必要です。
放置すると膀胱に負担がかかり、残尿や尿閉(尿がまったく出ない状態)を起こすこともあります。
特に寒い季節は交感神経が活発になり、前立腺や尿道の筋肉がさらに緊張します。
その結果、尿が出にくくなり、夜間頻尿も悪化しやすくなります。
【生活習慣の見直し:排尿トラブルを防ぐ日常ケア】
前立腺肥大症の症状を軽くするには、日常生活での工夫が欠かせません。
まず意識したいのは「冷え対策」です。腰や下腹部を冷やすと尿の出が悪くなることがあります。
下着やズボンを厚めにし、特に屋外では体をしっかり温めましょう。
次に重要なのは「飲み物の選び方」です。カフェインを多く含むコーヒーやお茶、アルコールは膀胱を刺激しやすい飲料です。
日中は水や麦茶を中心に、夜は摂取量を控えるようにします。
また、排尿を我慢する習慣は避けましょう。膀胱が過度に伸びると、機能が低下してしまいます。
便秘も前立腺を圧迫する原因となるため、食物繊維を多く含む野菜や果物をしっかり取りましょう。
適度な運動も血流を良くし、前立腺周囲のうっ血を防ぐ効果があります。
ウォーキングやストレッチを無理のない範囲で毎日行うことが理想です。
夜間頻尿が気になる場合は、就寝前2時間の水分制限と、足を軽く上げて休むことも効果的です。
【治療のポイント:薬と受診のタイミング】
前立腺肥大症の治療は、症状の程度によって段階的に行います。
軽症であれば、生活改善だけでも十分に改善する場合があります。
それでも症状が続く場合は、薬による治療が中心となります。
代表的な薬には「α1遮断薬(アルファワンしゃだんやく)」があります。
これは前立腺と尿道の筋肉をゆるめ、尿の通りを改善する作用があります。
また、「5α還元酵素阻害薬(ごアルファかんげんこうそそがいやく)」という薬は、前立腺そのものの大きさを少しずつ縮める働きを持ちます。
症状が重い場合には、手術で前立腺の一部を切除する方法が選ばれることもあります。
最近では、体への負担が少ない内視鏡手術が主流です。
尿がまったく出ない、血尿が続く、腎機能に影響が出るなどの場合は早急な受診が必要です。
一方で、早期に相談すれば、薬や生活調整で多くの方が改善を実感できます。
泌尿器科では超音波検査や尿流測定など、痛みの少ない検査で状態を把握できます。
「年齢のせい」とあきらめず、少しでも気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。
まとめ
冬は前立腺肥大症の症状が出やすい季節です。
冷え対策と生活の見直し、そして早めの受診が快適な排尿を守る鍵になります。
症状を我慢せず、適切なケアで冬を元気に過ごしましょう。