院長ブログ

Director's blog

2022年5月3日

PSA(前立腺特異抗原)とγ-seminoprotein(γ-Sm)の歴史について

院長の沖です。だいぶ暖かくなってきたと思ったら、すぐ夏が来たような暑さになっています。

今月で開業1周年になります。地域の皆さんに支えられて、この一年やってこれました。ありがとうございました。今後とも宜しくおねがいします。

本日はPSA(前立腺特異抗原)についてお話します。

PSAは前立腺癌の腫瘍マーカーです。これは検診にも組み込まれるくらいであり、診断と治療を大きく変えました。

このPSAですが、最初は日本で精液の中にあるのを発見され、精液マーカーとして法医学分野で研究されたものです。これは1968年にγ-seminoprotein(γ-Sm)として命名されております。

ここで法医学ということが出てきますが、当初は強姦の際に腟内の精液の存在を示す有用なマーカーとして発見されています。なんと1年以上経過しても確認が可能と言う優れものです。

 この後、γ-Smは前立腺に特異的に分布することが発見され、進行前立腺癌にて高値になることが分かりました。このため1986年にγ-Smとして日本には広く広まりました。

 ではいつ、PSAという名前になったのか、ということなのですが、これには特許が関係しています。これは1970年にアメリカでserine proteaseを前立腺組織で見つけ、これを生成してPSA(prostate-specific antigen)として臨床に出てきます。

 ここで出てくるPSAはγ-Smと同一のものです。γ-Smはアメリカより16年もはやく日本でみつかっています。しかし、先のPSAは発見されたと同時に特許申請されており、こちらが世界標準となり、そちらに合わせる感じとなったのです。

また泌尿器科に関わることを書いていきますのでよろしくお願いします。

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