Director's blog
2022年8月1日
今年は暑いですね。日光に当たると最近暑いというより痛いという感じもします。脱水に陥らないためにも部屋は涼しくして、しっかり水分を取ってくださいね。
今回はよく聞かれる「尿のにおい」についてお話させてもらいます。
尿の匂いは食べ物や、水分不足など、いろいろな条件でいろいろな匂いがします。
代表的なものを書いていきます。参考にしてみてください。
まずは病的なものです。
尿路感染症:尿に細菌が入ると、尿素をアンモニアに変えてしまうので、アンモニア臭は強くなります。
糖尿病:糖尿病が進行するとフルーツのような甘い匂いの尿が出ることがあります。
膀胱直腸瘻:この疾患では何らかの原因(大腸憩室炎など)により腸と膀胱が交通してしまいます。このため、尿に大便が混じり、この匂いがします。これはある程度見た目でもはっきりわかると思います。
ここからは非常に稀な疾患です。何個かを例に・・・
トリメチルアミン尿症:魚臭症候群とも呼ばれています。魚の腐敗臭のような臭いが身体から発せられる病気です。遺伝子異常によるものです。これはテレビでも出ていましたね。
メープルシロップ尿症:文字通りメープルシロップのような匂いの尿が出ます。3種の分枝鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)等の代謝ができなくて、これらのアミノ酸やこれらのアミノ酸に由来するα-ケト酸が体内に蓄積することで発症します。これも遺伝子異常によるものです。
正常で匂いがする場合です。
まず先の糖尿病のフルーツのような甘い匂いですが、お酒を飲んだ後など、一時的にこのようなにおいがすることもあります。
あと、排尿したあと、しばらく放置すると尿の成分が分解し、アンモニアが発生します。公衆トイレの匂いがきついときは、このためかと思っています。
他に食事よるものです。
おもしろいのはアスパラガスです。アスパラガスにはアスパラガス酸と呼ばれるものがあり、これが分解され硫黄化合物を生成するためです。硫黄は腐った卵のようなにおいがあります。しかしこの匂いは感じる人と感じない人がいます。これはそもそもその匂いの尿がでないのか、それとも嗅ぐ人の嗅覚が悪いのかという議論があります。少し面白いので気になる方は調べてみてください。
他に食べ物ではカリフラワー、キャベツ、芽キャベツ、ニンニク、カブ、クミン、魚類、コーヒーなどがあります。
尿が臭うときには「何食べたかな?」と思ってもらってもいいかもしれません。
最後に、尿が脱水で濃くなっても匂いはきつくなりますので、この夏しっかり水分を取って、尿の匂いを抑えるようにしてください。
よろしくお願いします。