Director's blog
2026年9月1日
こんにちは。 9月に入っても、まだまだ暑い日が続いていますね。
実はこの9月、世界的に「前立腺がん啓発月間」とされているのを ご存じでしょうか。
前立腺がんは、いま日本人男性がかかるがんの中で、 患者数が最も多いがんになっています。
一方で、早く見つけることができれば、治る可能性がとても高いがんでも あります。だからこそ「知ること」と「検診」が何より大切なのです。
今回はこの機会に、前立腺がんの基礎知識、検査、そして早期発見の ポイントについて、わかりやすくお話しします。
ご自身はもちろん、お父様やご主人など、大切なご家族のためにも、 ぜひ最後までお読みください。
【日本人男性のがん第1位!前立腺がんとはどんな病気?】
前立腺(ぜんりつせん)とは、男性だけにある、クルミほどの大きさの 臓器です。膀胱(ぼうこう)のすぐ下で、尿道を取り囲んでいます。
前立腺は、精液の一部となる液体をつくる働きをしています。 この前立腺の細胞ががん化したものが、前立腺がんです。
前立腺がんは、年間およそ10万人が新たに診断されており、 男性のがんの中で最も患者数が多くなっています。
特に60歳を過ぎると急に増え、高齢になるほどかかりやすくなります。 男性なら誰にとっても、ひとごとではない病気といえます。
また、お父様やご兄弟に前立腺がんの方がいる場合、 かかる可能性が2倍以上になることがわかっています。
ご家族に経験者がいる方は、より早めの検診を心がけてください。 遺伝的な体質に加え、食生活の欧米化も増加の一因とされています。
ただし、前立腺がんには他のがんと少し違う特徴があります。 それは、進行がゆっくりであることが多いという点です。
早期に見つかれば、手術や放射線治療などで治る可能性が高く、 状態によっては、すぐに治療せず経過をみる選択肢もあるほどです。
だからこそ、怖がりすぎる必要はありません。 大切なのは「早く見つけること」、ただそれに尽きます。
実際、がんが前立腺の中にとどまる早い段階で見つかった場合、 治療後の経過は非常に良好であることがわかっています。
早期の前立腺がんの多くは、適切な治療によって、 その後も長く元気に過ごせる可能性が十分にあるのです。
9月の啓発月間は、この事実を一人でも多くの方に知っていただき、 検診のきっかけにしてもらうために設けられています。
【初期症状はほとんどなし?前立腺がんのサインとPSA検査】
前立腺がんの怖いところは、初期にはほとんど症状が出ないことです。 痛みもなく、排尿にも変化がないまま、静かに進行していきます。
がんが大きくなってくると、尿が出にくい、トイレが近い、 尿に血が混じるといった症状が現れることがあります。
さらに進行して骨に転移すると、腰や背中の痛みが出ることもあります。 症状が出てから見つかった場合、治療が難しくなることも少なくありません。
ここで登場するのが「PSA(ピーエスエー)検査」です。 PSAとは、前立腺から出る特別なたんぱく質の名前です。
前立腺にがんなどの異常があると、このPSAが血液中に 漏れ出して増えるため、がんを見つける手がかりになります。
検査はとても簡単で、腕から少量の血液をとるだけです。 健康診断や人間ドックのオプションで受けられることも多くあります。
一般的に、PSAの値が1ミリリットルあたり4ナノグラムを超えると、 「要精密検査」となり、泌尿器科でくわしい検査を行います。
ただし、PSAが高い=がん、というわけではありません。 前立腺肥大症や前立腺の炎症でも、値が上がることがあるからです。
精密検査では、MRIという画像検査や、前立腺の組織を少しとって 顕微鏡で調べる「生検(せいけん)」などを行い、診断を確定します。
泌尿器科では、肛門から指で前立腺の状態を調べる「直腸診」という 診察を行うこともあります。数十秒で終わる大切な診察です。
少し恥ずかしいと感じるかもしれませんが、前立腺の硬さや形から 得られる情報は多く、診断の助けになります。
なお、万が一がんと診断されても、治療の選択肢は豊富にあります。 手術、放射線治療、ホルモン療法などから、状態に合わせて選びます。
進行がとてもゆっくりなタイプでは、すぐに治療せず定期的な検査で 様子をみる「監視療法」という方法がとられることもあります。
年齢やご本人の希望も大切にしながら、主治医とじっくり相談して 治療方針を決めていくことができるのです。
PSA検査で早期に見つかった前立腺がんの多くは、 臓器の中にとどまった治しやすい状態で発見されています。
【50歳を過ぎたら年1回!早期発見のためにできること】
では、PSA検査はいつから受ければよいのでしょうか。 一般的には、50歳を過ぎたら受けることがすすめられています。
ご家族に前立腺がんの方がいるなど、リスクの高い方は、 40代から検査を始めることが望ましいとされています。
多くの自治体では、住民健診の一環としてPSA検査を 実施しています。お住まいの市区町村の案内を確認してみてください。
費用も比較的安く、数百円から千円程度で受けられる地域が多いです。 「まだ症状がないから大丈夫」と思わず、年1回の習慣にしましょう。
一度測っておくと、ご自身の基準の値がわかるのも利点です。 翌年以降、値の変化をみることで、異常に早く気づけます。
生活面では、バランスのよい食事が予防につながると考えられています。 脂肪の多い食事にかたよらず、野菜や大豆製品も取り入れましょう。
大豆に含まれるイソフラボンという成分や、トマトのリコピンという 色素には、前立腺の健康を守る働きが期待されています。
適度な運動や禁煙、肥満の解消も、がん全般の予防に役立ちます。 特別なことではなく、毎日の積み重ねが体を守ってくれるのです。
そして、排尿の変化は前立腺からの大切なサインです。 尿の出にくさや残尿感、夜中のトイレの回数が増えたときは要注意です。
多くは前立腺肥大症など良性の病気ですが、前立腺がんが 隠れていることもあるため、自己判断は禁物です。
前立腺肥大症とは、加齢とともに前立腺が大きくなり、 尿道を圧迫して尿が出にくくなる、がんではない病気のことです。
症状が似ているため、区別には泌尿器科での検査が欠かせません。 どちらの病気も、早く対処するほど快適に過ごせます。
「泌尿器科は行きにくい」と感じる男性は、少なくありません。 しかし実際の診察は、問診と採血、超音波検査などが中心です。
いきなり痛い検査をされることはありませんので、 どうぞ安心して受診してください。
また、男性はご自身の体の不調を後回しにしがちです。 奥様やご家族からの一言が、受診のきっかけになることもよくあります。
「一度、検査を受けてみたら?」というやさしい声かけを、 そしてこの記事を、ぜひご家族での話題にしていただければ幸いです。
最後に、今回のポイントをまとめます。 前立腺がんは日本人男性で最も多いがんであること。
初期症状がほとんどないため、症状を待たずに検査が必要なこと。 PSA検査は採血だけの簡単な検査で、50歳からは年1回が目安なこと。
そして、早期発見できれば治る可能性が高いがんであることです。 この9月、ご自身とご家族の検診について、ぜひ話し合ってみてください。
気になる症状や検査結果のご相談は、お近くの泌尿器科へ。 早めの一歩が、10年後、20年後の健康な毎日につながります。