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検査
前立腺肥大症の検査としては、問診、直腸診、尿検査、尿流測定、残尿測定、採血(PSA、血清クレアチニン)、超音波検査(前立腺場合により腎臓)、排尿日誌、内圧尿流測定、などがあります。
問診
いつから排尿障害があるのか、それ以外に排尿時痛があるのか、基礎疾患がないか、手術既往についてもお伺いします。また内服薬の確認を行います。そのうえで、世界共通で使われている前立腺肥大症の症状の客観的な評価法としては、IPSS(国際前立腺症状スコア)とQOL(困窮度)スコアを調べることで重症度が判定できます。治療方針の決定や治療の効果の判定の参考となります。
直腸診
肛門から直腸に指を入れ、前立腺に触れることで、前立腺の形や硬さ、痛みの有無を調べます。
前立腺肥大症以外の疾患をチェックするのにも重要な検査です。(右図)
尿検査
血尿の有無、尿路感染症の有無などを確認します。
尿流測定
トイレ型の検査機器に排尿すると、尿の出方がグラフで示され、尿の勢い、排尿量、排尿時間などが自動的に数値化されて表示されます。これで自覚的な尿の出が悪いを実際の数値として客観情報として評価できます。
残尿測定
排尿直後に膀胱内にどれくらいの尿が残っているかを超音波で測定します。
採血
ここで見るのはPSA(Prostate-Specific Antigen)と場合により血清クレアチニンをみます。PSAは前立腺からのみ出ると言われるタンパクで、これを採血で確認できます。PSAは前立腺癌のスクリーニング検査として非常に有用で、正常値は4ng/mL以下ですが、前立腺癌があると正常値を超えて上昇します。4~10ng/mLの上昇はグレーゾーンと言われ、前立腺癌以外に、前立腺肥大症や前立腺炎でもみられることがあります。
血清クレアチニンは先の合併症であった腎障害の確認目的です。残尿が非常に多い等の場合に追加します。
超音波検査
超音波検査により、腹部、もしくは肛門からエコーの機械をあて前立腺を診ます。これにより、痛みもなく(肛門からの場合には少し痛いかもしれません)大きさを測定することができます。
残尿が多い場合には腎臓の機能の悪化がみられる可能性があるので、腎臓が尿が貯まって腫れてないか(水腎症と言います)エコーにて確認できます。
排尿日誌
排尿日誌は、ご自身でつけていただく尿の日記です。排尿した時刻とその時の排尿量を24時間自分で記録します。これを最低2日間、できれば3日間してもらいます。これをつけてもらうことにより一日の排尿回数や1回の排尿量、また頻尿の程度が昼夜どちらで強いのかなどを正確に知ることができます。頻尿の原因を知るのに非常に役立ちます。
内圧尿流検査
この検査は多少侵襲的です。ざっくりいうと排尿に携わる膀胱の中の圧力を診る検査です。尿道から膀胱に尿の管を入れて、膀胱に生理食塩水を注入します。このことにより膀胱が張っていくときの内部の圧力を測定し(膀胱の貯まる力、蓄尿パラメータ)、膀胱に生理食塩水が限界まで貯まったら排尿して、膀胱から生理食塩水が出る圧力(膀胱収縮圧)と先にもあった尿流測定を同時に測定します。(膀胱の排尿パラメータ)この検査により、蓄尿期においては、尿意に問題がないか(膀胱知覚)、過活動膀胱の有無、膀胱にどれくらい尿を貯めれて、その際にどの程度の圧がかかっているか(膀胱コンプライアンス)、などを知ることができます。排尿期においては、膀胱の収縮力に異常がないか、前立腺肥大による尿の通り道の閉塞の程度を評価できます。